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修学院離宮 拝観記 [その他]

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関西を旅行してきました。






P1010165.JPGUSJでずぶ濡れになってきたり。
(ジュラシックパーク・ザ・ライド。
並んでる間に合羽を売っています(笑)
400円!高いぞ!
ヽ(`Д´)ノ
私は濡れるのが嫌で敵前逃亡しましたが、
惨劇が予想されたので、
子供には買うように言いました。 
子供たちの前の席の人が合羽なしで乗って、
ものすごく悲惨な状態になっていたそうです。)








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英虞湾をぼへ~っと(*¨) ....と眺めてきたり。






そして最終日に、修学院離宮(京都府京都市左京区修学院藪添)を拝観してきました。
杉本苑子著「月宮の人」の中に、
後水尾上皇(1596~1680)がこの離宮を情熱を傾けて造営していく様子が描かれています。
その描写を読みながら、この離宮の景観を想像しては、行ってみたいとずっと思っていました。
宮内庁所轄の離宮のため、
拝観には宮内庁に申し込んで許可証が必要なので、なんとなく今まで行きそびれていましたが、
(いえっ 別に手続きが面倒だったわけでは・・・(;´∀`) )
とうとう念願がかないました。
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               下御茶屋御幸門
















この離宮は、
比叡山を背後に臨む丘陵地に、
その地形を生かして上・中・下 の高さに変化をつけた3つの御茶屋を配し、
各御茶屋を赤松並木の連絡路で結んであります。
拝観許可証には、上り坂を含む3kmの拝観路を歩くので、
はきなれた靴で来てください、と注意書きがありました。





P1010587.JPG下御茶屋 寿月観
後水尾上皇御幸の際の御座所であった建物です。
額の字は、上皇の宸筆だそうです。
(達筆!)





















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寿月観からの庭園の眺め
案内の方のお話によると、
上皇は朝早く御所を発って、
この離宮に到着後、
この寿月観で朝餉を召し上がる事が多かったそうです。
きっとこの庭園を眺めながら。







修学院離宮は、案内の方に先導されて20~30人くらいの団体で拝観します。
私たちのグループの案内をしてくださった方は、
やや年配の背の高い男性の方。
一見、気難しそう(?)な感じの方だったのですが、
説明の声はとても通って聞きやすく、お話も興味深く、
歩いて移動中にお話ししてみると気難しくなんてない、
いろいろお話してくださる、とてもよい方でした。
(もっとお話を聞いてみたかった!)




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それぞれの御茶屋を結ぶ赤松並木。
松並木のまわりには、田圃が広がっています。
松並木が整備されたのは明治になってからで、
後水尾上皇は、田圃の中の畦道を行き来していたそうです。
離宮造営にあたり、上皇はもともとあった耕作地をそのまま残し、
耕作する民の姿をそのまま景観の中に取り入れる事を理想としたとのことです。(ガイドブックより)








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中御茶屋 客殿
奥に見えるのは、霞棚 と呼ばれる飾り棚。
桂離宮の桂棚、三宝院の醍醐棚と並んで、天下の三棚と称されています。
それぞれ長さの違う棚が生み出すリズムがおもしろく、
秀逸なデザインセンスに見とれました。







P1010610.JPG客殿杉戸に描かれた鯉。
この鯉は、夜な夜な杉戸を抜け出しては、
池で泳いだりいたずらをするので、
後に円山応挙が網の絵を書き足したそうです。
案内の方曰く、
「鯉を書いた人の名前は伝わっていませんが、
 網を描いたのは円山応挙です。」
完全にがんじがらめに閉じ込めてしまうのは鯉がかわいそうなので、
わざと網に破れ目が描かれています。
こういう遊び心好きだなぁ。












P1010611.JPG中御茶屋 網干の欄干
それぞれの御茶屋のさりげない意匠にも、
こまごまとした心遣いを感じます。















P1010679.JPGそしていよいよ上御茶屋へ。
御成門を入って少し歩くと、
このようなかなり背の高い生垣に囲まれた狭い道を登ります。



















そして、このまわりを遮られた坂道を登りきると・・・・・
一気に視界が開けます。
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隣雲亭からのながめ
下に見える池は浴龍池。川をせき止めて作られました。




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左手に、敷地内にあった田圃。
その向こうに京都市街が臨めます。
ここは海抜149mだそうです。



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高台にある隣雲亭までの登り道は、背の高い生垣でわざと視界をさえぎり、
そして登り切った途端にぱっと視界が開けて、
はるか下方の京都市街まで見渡せる景観が目に飛び込んでくる・・・
巧妙に計算された、この意表を突く演出に驚かされ、感嘆させられました。


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浴龍池の中にある島。
池に浮かぶ島にある松でさえ、こんなに立派。















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隣雲亭のたたきのデザイン。
1,2,3と3つの石を組み合わせてリズミカルに埋め込んであり、
一二三石(ひふみいし)と呼ばれています。






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隣雲亭から少し離れたところにある窮邃亭。




ここは、景色を眺める事だけに特化して作られた亭で、
視界を遮らないように、窓側の庇が極端に小さく作られているそうです。
窓がない、入り口側の庇と比べると一目瞭然。
案内の方のお話だと、上記の理由で建築としてはアンバランスで不安定なのだとか。
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つっかえ棒(?)で持ち上げられた窓のカバーは、
もちろん取り払えて、景色を楽しめたようです。







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最終の回の拝観だったので、
ここまで来る頃には日が傾いてきました。
浴龍池、広いなぁ~




















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窮邃亭を過ぎて、浴龍池ごしに隣雲亭をのぞむ。
もこもこした生垣に囲まれているのがわかります。
この生垣の中を登って行ったわけです。
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さて、浴龍池のほとりを歩いていると、道のわきはこのような綺麗な刈込になっています。
これを下から(松並木)から見上げると、

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このような、スケールの大きな刈込となっているのです!
これは、大刈込と呼ばれています。
谷川をせきとめて浴龍池を作る際に、土堤を築きそれを三段から四段の石垣で土どめをしました。
そのため、周囲の景観を損ねないように土堤を三段の高生垣で覆い、
さらに上部を大刈込で覆っているのだそうです。(ガイドブックより)
大刈込の下に田圃が広がっています。




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上御茶屋側の大刈込から田圃を見下ろした風景。
中央あたりに横一列に連なっているのが、
下御茶屋と上御茶屋を結ぶ松並木です。













綺麗に刈り込まれた生垣。
これだけ広いお庭、手入れもさぞ大変な事でしょう。
ちょうど私が拝観した時も、
こんなに高い木の上で、作業をしていらっしゃる人が。
P1010657.JPG気をつけて~~~














案内の方のお話によると、
桂離宮は、限られた敷地内の中でそれをいかに広く見せるか、という工夫がなされた庭園。
それに対して修学院離宮は、外に広がる風景をそのまま楽しむ庭園だそうです。
なるほどなぁ~
上の御茶屋から借景を巧みに取り入れた、深呼吸したくなるような風景を眺めながら
その言葉にうなずかされました。



最後に表総門までの道を三々五々下りながら、
美術史専攻だった学生時代の癖で、気になった事をいくつか案内の方に質問させていただきました。
私の疑問に丁寧に答えてくださった後、最後にその方は、

「でもここは、勉強をしに来るというよりも、見たままのものを何も考えずに感じた方が
 楽しめると思いますよ。」
とおっしゃいました。

反省。
私も次回拝観する機会があれば、後水尾上皇と同じ気持ちになって、
心をこの場所に遊ばせてみようと思いました。





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