終わってしまったけど「マウリッツハイス美術館展」のこと

記事が書けないうちに東京会場は閉幕してしまいましたが、
9月の上旬、上野の東京都美術館に
「マウリッツハイス美術館展」を見に行ってきました。



フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」が大人気で、連日混んでいるようでしたので、
平日に、公式HPの待ち時間をチェックしつつ行った、つもりでしたが。
やっぱりそれでも混んでいました。 c(ﾟ.ﾟ*)ｴｰﾄ｡｡｡
まぁそうだよね～・・・わかってたさ！orz



事前に携帯でHPをチェックしつつ向い、入場までの待ち時間10分であること確認。
あぁやっぱり平日にしてよかったなーなどと思いながら、都美館着。
建物の中に入って、いざ特別展の入り口へと向かいます。
まぁここで入場制限がかかっているのはよくある事。
HPでの予告どおり、10分強で会場へ入れました。



私が展覧会に行ってまず探すのが「作品リスト」。
図版もなにも載ってない、ただ字が書いてあるだけのリストですが、
来ている全作品について、タイトル、サイズ、画材、年代、所蔵美術館　などが載っています。
たいてい、入ってすぐの部屋のすみっこに、
ご自由にお持ちください的な感じでぽんっと束になって置かれている・・・はず・・・あれ？無いなー
しばらく第1室の入り口あたりをウロウロ探しましたが、それらしき物は見当たりません。
仕方なく係りの方にお聞きしたところ、入り口にあるカウンターで聞いてください、との事。
チケットを切り離した入り口あたりに戻って、カウンターの人に聞くと、
「何冊いりますか？」と聞かれ、「1冊でいいです。」と言うと、
カウンターの下から出してくださいました。
えー　隠してあるの？（笑）


でも、たいていどこの展覧会に行ってもこんな感じの色気も何もない体裁なのですが、
バーン・ジョーンズ展のもの

















マウリッツハイス美術館展のものは、ちゃんと冊子になっていて、なんとカラー写真まで載ってました。
うーむ、これは言わないともらえないだけある（？）
最近は、こういう作品リストも普通なのかしら？（私ははじめてでした）

ただし、普通の展覧会ものはA3サイズの二つ折り（作品数によってはA4サイズのページがはさまれることもあり）ですが、
こちらの冊子はB6サイズ（かなり小さめ）の正味10ページ、広告4ページｗでした。
人気の展覧会すぎて、数が足りなくなって自由に配れなかったのかなぁ。



神戸会場へ行かれる方、もしかしたら作品リストはお願いしないともらえないかもしれません！






この展覧会の目玉は、やはりフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」なのでしょう。
展示も別格でした。
この作品だけのために一部屋が準備され、照明も他の部屋よりも落とされた中に、
ただ一人、ほの暗いスポットライトを浴びて展示されています。
しかし！
この作品の前に行くまでが実は第二の試練だったのです。













部屋に入ると、入り口とは反対の壁際に、この作品ひとつだけが展示されています。
でも、その前には、
休日のディズニーランドかと見まごうばかりにロープが張られたウネウネの行列が！（￣□￣;）!!
最前列まで行って観たい人は、このウネウネに並ばなくてはなりません。
最前列より少し手前に、並ばなくても到達できるエリアもあったのですが、
せっかくだから近くで観たいです～
筆の使い方や絵の具ののり方やタッチをこの目で観たい、
図版ではわからない画家の息遣いを感じたい！
というわけで並びました。
20分から30分はかかったと思います（涙）
そして、ようやく最前列に到達しても、2秒でも立ち止まったら係りのお姉さんに注意されてしまいました。｡
わかるけど・・・わかるんだけど・・・後ろにたくさん待ってる人がいるし・・・
でも、30分並んだのにな～～～～･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡


むしろ、会場に入るまでの時間よりも、
「真珠の耳飾りの少女」を最前列で観るための待ち時間を
HPにのせた方がよかったのではないでしょうか・・・



でも、やはり作品は素晴らしかったです。
並んでいる間中、まだはるか遠くに居るうちから、
暗く照明を落とした展示室で、そこだけスポットライトを浴びて浮かび上がる少女。
まるでこちらを見据えているかのように、少女の瞳がせまってきていました。
圧倒的な存在感。そして瞳にこもった力。印象的な表情。
むしろ、やっとたどり着いたのに通り過ぎることしかできなかった時よりも、
遠くから眺めていた時の印象の方が、強く残りました。





「真珠の耳飾りの少女」ばかりクローズアップされている感もありましたが、
他にも足を止めて見入ってしまう作品がたくさんありました。
特にレンブラントがよかったです。

盛り上げるように絵の具を重ねて描かれている部分（特に上段右の肖像画など）や、
今、筆が通ったばかりのような跡、
図版や画像ではわからない生の絵の迫力に、どきどきしました。





フランドル絵画は、その写実的で精密な描写も特徴ですが、
その特徴をいかした静物画や風景画も来ていました。

ベイエレンの「豪華な食卓」
ほんとに豪華ですね。
この作品の中央やや左に、皮を剥きかけたレモン（剥きかけの皮がたれさがっている）が描かれていますが、
他の食卓を描いた静物画にもまったく同じようなレモンが描かれていました。
もしかしたら、この「剥きかけで皮がたれさがったレモン」は、
精緻な表現ができることを示す、画家の技量のバロメータのひとつだったのかな？なんて
想像しながら観ていました（まったくの私感ですが）。
それとも何か、象徴的な意味があるのでしょうか。




フランドル絵画では、風俗画もよく描かれています。
これはそのひとつ。
ヤン・ステーンの「親に倣って子も歌う」です。
赤ちゃんの誕生祝の席だそうですが、
もう赤ちゃんそっちのけで昼間からお酒飲んで大騒ぎ。
たしか一番左の女性が赤ちゃんのお母さんだったはず。
そんな派手なポーズでお酒ついでもらっちゃったりして、
母乳がアルコールだらけになりそう（汗）。
右側では、子供にタバコ吸わせてるし・・・
親が子供の悪いお手本になってしまう事を警告しているそうです。
この絵のテーブルにも、皮を剥きかけて垂れ下がったレモン（？柑橘類）がありますね。





で、さらに何かで読んだのですが、
左から二番目のおじいさんがかぶっているのは、
本来は赤ちゃんのお誕生祝いの席で、赤ちゃんの父親がかぶるべき帽子なのだとか。
（一応）赤ちゃんの父親は、後列右から二番目の人らしいのですが・・・
う～ん　なにやら複雑な事情の暗示？ふざけておじいちゃんがかぶってるだけ？
いろいろな面で戒めがこもった絵のようです。
（象徴を使った表現、寓意を含んだ表現をするのも、フランドル絵画によく見られます）









他にも、ヴァン・ダイクの肖像画、ライスダールの風景画にも、心ひかれる作品がありました。
実は私、ルーベンスが描く裸体はちょっと苦手なのですが（ネロ、ごめんね！）
ルーベンス作のこの肖像画、
「ミハエル・オフォヴィウスの肖像」は素晴らしかった。
モデルの性格や信念まで写し取っているようで、しばしその場を動けませんでした。
（ここでは、立ち止まっても怒られなかったｗ）








***おまけ***

こんなフードカバーを買いました。
もうひとまわり大きいのと2つセットでした。
お菓子を冷ます時にも活躍しそう♪

コメント 8

自分は初日に行きましたが少女の部屋は凄い行列でした。
でも折角だから最前列を目指しましたが・・・・・
自分の目には最前列は近すぎました＞＜
むしろ最前列でなくてもいい人用の位置のほうがよく見えた記憶があります＾＾；
そこならずっと立ち止まっていられましたし・・・


by さる１号 (2012-09-23 16:24) 

次回はレモンの謎解きだね（笑）
by pn (2012-09-23 20:15) 

もぐさん　お久しぶりです。
｢耳飾りの少女｣、観に行かれましたか！
私は気になりつつ、暑さと人の多さが目に
浮かび、断念しました。
とっても詳しい記事をupして頂き、
様子がよく分かりました。私も以前、日本やNYで
何点か観た事がありますが、同時代の他の画家と
は較べものにならないほどの色遣い画面の光の
表現に驚きました。レンブラントも来ていたのですね。
夏の良い収穫でしたね。

おまけも素敵！
キッチンに便利で可愛いものが増えると
一段とモチベーションがあがりますね。
秋のお菓子を待っています！
by pomme (2012-09-23 21:21) 

こんにちは＾＾退院してきました！
絵画の美術展は行ったことがないのですが、
本物はとてもキレイなんだろうなって思います（ものすごく素人の感想＾＾；）
最近一気に涼しくなったし、まさに「芸術の秋」ですね！！
めずらしいフードカバーですね！！
チェリーは縫いつけてあるのかな？可愛いです♪
by なっぺ (2012-09-24 11:44) 

>さる1号さん

少女の部屋の混雑は、ほんとうにすごかったですね。
ましてや初日では、さぞ・・・
あれは、ロープを張って却って鑑賞する環境を悪くしているような気がしました。
でも、はるか遠くからでも、存在感・印象度はすごかったです。
あと、ライティングの妙といいますか、効果も実感しました。

次は、新美術館の、
「リヒテンシュタイン　華麗なる侯爵家の秘宝」を見に行きたいです。
by もぐ (2012-09-25 22:38) 

>pnさん

そうそう！
こういうディテイルの謎解きが大好きなんですよねｗ
学生時代にしみついた習性だなぁ。
by もぐ (2012-09-25 22:40) 

>pommeさん

こんばんは。ご無沙汰してしまってました。
入場まで10分、とのHPの表示にだまされました～。
中入ってからの方がずっと大変でした！
でも、「耳飾りの少女」以外の絵は、一応しっかり見てくる事ができましたし、
他にも心惹かれる作品がたくさんあったので、
行けてよかったです。満足満足。
しかし、個人コレクションが核になっているとは・・・
なんてセンスがよくて、なんてお金があったのでしょう！（うらやましい）

キッチン小物好きなので、ついつい手をだしてしまうのですが。
所詮私のコレクションなんて、こんなものです（笑）
by もぐ (2012-09-25 22:51) 

>なっぺさん

おかえりなさーい！
予定より早い退院で、ほんとうによかったですね。(*'-'*)

オリジナルの絵画は、図版とはとにかく色が違います。
そして図版ではわからないタッチや質感、絵の具の使い方。
見るとしびれます（笑）
図版で見ていてあまり好きではなかった作品をたまたま展覧会で見て、
なんて綺麗なんだ～って、いっぺんに宗旨替えしてしまった事もあるほど。
たまにはお散歩がてらにいかがですか？

フードカバーは、ちょっとチープな感じ（笑）が却って気に入ってます。
すずらんテープみたいな糸で縫いつけてあるんですが、
ざっくりテキトー感じがまたいい味だしてます。
by もぐ (2012-09-25 23:04)